株と材料 ADRと日本市場での株価の動きと影響を見ていきます ADR(米預託証券)って何?
ノミでもわかる株入門
ADR(米預託証券)と株価の影響
 
『ADR』とは、題名にも書いてあるように『米預託証券』の事を指します。また、『EDR』は『欧州預託証券』の事です。『DR』は『預託証券』のことですから、これにAmerican(米国)もしくはEuropean(欧州)の頭文字がつくことで、どこの預託証券化を表している事になります。
 ADR>米預託証券
American Depositary Receipts
 EDR>欧州預託証券
European Depositary Receipts
 ※DR:Depositary Receiptsの略です。
 通常の証券ではなくて、何で預託証券なの?
例えば米国市場で海外企業が株取引を行ってほしい場合、言語はもちろんのこと、法律上などの問題などから取引が難しい状況です。その問題を解決してくれるのが『預託証券』です。『預託証券』は有価証券での問題点(言語や法律などの問題等)をクリアして、海外の企業株を通常取引できるようにする有価証券代替証書のようなもの-このように覚えておけば良いと思います。直接の有価証券では難しいが、預託証券を使えば、アメリカ市場で日本企業の株を流通させる事も可能です。預託証券を使えば、海外投資家が通常の国内取引と同様に日本株の売買を出来るようになります。
ADRで株式を流通させることになっても、ADR=新株発行ではありません。発行方式により区別されています。、結果、ADRで株式流通が決定したからと言ってADR株の希薄化などの現象はおこりません。
 発行方式
  • S1方式:新株を米国で発行
  • S12方式:流通している株式の預託証券化
2種類があります。上記で発行方式によると書きましたが、S1方式では新たに株式発行という形での発行となります。
ADRには
  • 「スポンサーなしADR」
  • 「スポンサー付きADR」
の2種類があります。これはADRで預託証券の流通開始の際に、企業からどのような形態でのADRかと発表がありますので、そちらで確認が可能です。IRには必ず公示されますので、IRチェックが一番確実でしょう。また内容については、以下のような規定が設けられています。
 スポンサーなしADR>Unsponsored
当該企業の最低限のディスクロージャー/米国証券会社・米国預託銀行が主体
 「スポンサー付きADR>Sponsored
資本調達の有無と開示の義務、新株発行などの有無、議決権行使書/外国企業が主体 Level-1、Level-2、Level-3、私募ルール144Aのレベルが設けられている。このレベルにより内容は異なってくる。
  • Level-1(非上場):証券会社間での取引
  • Level-2(上場):株式募集無し、機関投資家など対象|年次報告書等継続開示義務
  • Level-3(上場):株式募集あり、機関投資家・個人投資家ともに募集|年次報告書等継続開示義務
  • 私募ルール144A(上場):私募形式での株式募集あり、機関投資家(1億ドル以上の資金運用)|年次報告書等継続開示義務
内容的にはわかりにくい部分もあるかと思いますが、まずは、非上場・上場の違いをチェックしておきましょう。また、ADR=海外の個人投資家が取引できるというわけではありません。チェック企業がどのレベルでADRの設定をしているかもチェックが必要です。
  • 知名度UP
  • 自社製品、サービスなどのPR
  • 財務の透明性PR
  • 資金調達力UP(Level-1を除く)
  • 流動性UP
上記のように企業にとってプラス面は大変大きいものです。また、ニューヨーク市場での上場は一流企業の証とも言われているので、将来的にはADRで株式公開を考えている企業も多いと思われます。
ソニー(SNE)、トヨタ自動車(TM)、富士フィルム(FUJIY)、日立製作所(HIT)、NEC(NIPNY)、松下電器産業(MC)、TDK(TDK)、三洋電機(SANYY)、マキタ(MKTAY)、アドバンテスト(ATE)、京セラ(KYO)、日産自動車(NSANY)、トレンドマイクロ(TMIC)、ホンダ(HMC)、キャノン(CAJ)、三井物産(MITSY)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MTU)、オリックス(IX)、キリンビール(KNBWY.PK)、野村ホールディング(NMR)、ミレアHD(MLEA)、日本電信電話(NTT)、NTTドコモ(DCM)、コナミ(KNM)
※順不同
  • ニューヨーク証券取引所
  • ナスダック
銘柄によって上場市場が違います。
日本市場での同銘柄株価は、もちろんADRにも影響を与えますが、ADRは上場市場の影響を受けると言えます。つまり、米国市場の影響を受けるということです。日本市場での取引時間とはかぶりませんので、日本市場での取引終了後にニュースや決算発表などあれば、それに反応して大きく変動することもあります。
日本企業のADRが軟調に終わると、それを受けて軟調に推移することもありますが、堅調推移を材料に底堅く動く場合もあります。日本市場の取引開始の際は大きく影響を受ける場合がありそうですが、日本市場での取引時間中は日本市場の影響を大きく受けますので、1日影響を受けるというよりは、寄りでの注文に影響を与える部分が大きいと思われます。
また、換算計算で為替レートの影響も受けますので、そちらも忘れずに考えなければいけない点ですが、円換算での終値データの公表を行っているサイトもありますので、自分で計算は面倒だという方は、そのようなサイト利用が便利です。
材料としては、そんなに大きく日本市場と乖離していなければ影響はないと思っています。もし、ADRの全体の動きが知りたければニュースサイトなどを参考にしてみましょう。ダウやナスダックは軟調な中日本株ADRは堅調な動き-などという場合もありますし。リアルでチェックするのも大変ですし、日本市場での取引が始まらなければ売買も出来ませんので、朝チェックで十分対応の範囲内だと思います。
ADRは、1927年にモルガン・ギャランティ・トラスト銀行が発案しました。JPモルガンのサイトにも米預託証券(ADR)を発明したこの分野でのパイオニアと書かれています。
SECからADR発行の許可を受けた最初の日本企業第1号は、有名なお話なので知っている方も多いと思いますが、『ソニー』でした。このソニーのADR秘話についてはソニーのサイトで確認できますので、興味のある方は見てみると楽しいと思います。(事前リンク承認がいるので、検索サイトなどでソニーサイトを探して下さい)増資のため新株式発行を決議し、そのうち200万株をADRでの公募にしたところ、1時間で完売してしまった他、公募価格のよりも高い値での人気株となったそうです。
当時の事をいろいろ調べられたら面白いですね。
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