はじめての企業財務分析 貸借対照表B/S)を分析! ファンダメンタルズ分析注目点をチェック
ノミでもわかる株入門
貸借対照表(B/S)を分析する
 
株式投資をする際に何を根拠にするのか。まさか、勘なんて人はいないですよね。投資判断をする方法は2通りあります。
 ファンダメンタルズ分析
企業の財務状況を分析し、将来の成長性を見込んで投資判断をします。企業の業績が上がれば、当然株価は上がりま す。企業が成長している限り短期的には、株価が上下することはあるでしょうが、長期的にみれば上昇傾向にあるはずです。ですので、投資方法は中長期投資に なります。副業で株式投資を考えている人に向いた投資法ではないと思います。
 テクニカル分析
チャートと呼ばれる表をもとに投資判断をします。株についての雑誌、もしくはニュースなどで見たことはあるのでは ないでしょうか。チャートの傾向を分析し、株価がどう上下するのかを予測し投資をするのです。テクニカル分析は、短期投資によく使われます。短期投資は証 券取引所が開いている時間は、パソコンから離れられないので、本業を持っている人にはむいていません。株式投資を本業にと考えている人か、自宅で時間を有 効利用できる主婦向きではないでしょうか。株の勉強もじっくりとできます。
 分析方法の学び方
どちらから学べはいいのか迷うとは思いますが、ファンダメンタルズ分析、つまり企業の財務状況の見方から学ぶべきだと思います。短期投資にもファンダメンタルズ分析が使えると考えるからです。財務状況に裏打ちされた上昇傾向にある株なのか、今の株価が企業の財務状況に見合った株価であるのかある程度判断できれば、短期から中長期投資に切り替えるなど、状況に合わせて投資方法を変えられるからです。ですので、まずはファンダメン タルズ分析から学ぶのがベストです。もちろんいずれは、テクニカル分析の説明もしていきたいと思っています。
貸借対照表とは、企業の健康診断書です。
人間の健康診断書と同じで、企業が生まれた時から継続され、複式簿記により記帳し続けられているものです。決算時に数字を確定しますが、数字をリセットしてゼロから始めることはありません。あくまでも企業が解散するまで、継続して記帳(帳簿をつけること)し続けられるものなのです。よって貸借対照表から、その企業がどれだけ健康かを計ることができます。企業が病気にかかっているのか、病気から回復しつつあるのか、健康でますます働けるのか(成長するのか)、などを読み取ることができるのです。
どこで株式投資をするのが儲かるのか、もちろん病気から回復しつつある状態の企業が飛躍的に健康になれば一番です。
貸借対照表
(100万円単位)
資産の部
科 目 金額
流動資産 69,000
  現金及び預金 10,000
  受取手形 600
  売掛金 30,000
  たな卸資産 8,000
  短期貸付金 20,000
  繰延税金資産 600
  貸倒引当金 △200
固定資産 86,700
有形固定資産 52,800
  建物 22,000
  機械及び装置 12,000
  土地 17,000
  建設仮勘定 1,800
無形固定資産 1,500
投資その他の資産 32,400
  有価証券 10,000
  関係会社株式 20,000
  前払年金費用 3,000
  貸倒引当金 △600
資産合計 155,700

負債及び資本の部
科 目 金額
流動負債 36,000
  買掛金 22,000
  短期借入金 4,500
  未払金 8,000
  未払法人税等 400
  売上割戻引当金 900
  賞与引当金 200
固定負債 6,900
  長期借入金 4,500
  役員退任慰労引当金 900
  繰延税金負債 1,500
負債合計 42,900
資本金 24,000
資本剰余金 29,000
利益剰余金 62,000
自己株式 △2,200
資本合計 112,800
負債及び資本合計 155,700
※この表を基本に説明をしていきます。
本来の貸借対照表(B/S)です。数字の羅列で頭が痛くなるような表です。金額は100万円単になっているので、見にくいようだったら見やすいよ うに書き直してください。たとえば、10,000は、100億という具合にです。ですが、たいていの企業の決算書は100万円単位え書かれているので徐々に慣れましょう。
基本は前回に書いた簡単な貸借対照表(「決算書」ってどんなもの)と一緒です。水色に塗った部分を見てもらえばわかると思いますが、どんなに表が複雑になっても資産=負債+資本もこの関係はかわりません。左側と右側の合計は必ず同じになります。ツボさせおさえておけば、今企業がどのような状況にあるのかを理解する事が可能です。
 流動資産
  • 現金及び預金
  • 現金化できる受取手形(お金のかわりに貰う借用書みたいなもの。期日がくれば現金化可能。銀行に持っていけば期日前でも手数料を支払えば現金化してくれます)
  • 売掛金(商品などを売ってはいるが、まだ現金を回収していないもの)、有価証券(株など)
です。ここの数字が大きければ、突然不況に陥ったとしても支払いが滞ることなくできるからです。究極の話、企業は売上がなくても支払いができる限り倒産することがありません。(もしそんな状態になれば、自主的に解散することになるとは思いますが)
 流動負債
近いうちに支払期日がやってくるもの青色に塗った部分(流動負債です)です。
  • 仕入れをしてまだお金を払っていないもの(買掛金)
  • 下請け業社に支払わなければならないもの(未払金)など
緑に塗った部分(当座資産)の合計は、50,400になります。
青に塗った部分(流動負債)の合計は、36,000になります。
差は、14,400です。この額だけ、緑に塗った部分(当座資産)が多くなっています。緑の金額が多くなればなるほど、余剰資金があるということになります。逆に青に塗った部分(流動負債)が多くなれば、資金ショートを起こす可能性が高くなるということになります。そして、さらに全ての負債合計(42,900)よりも当座資産(50,400)の金額が上回っているので、経営状況はさらに健全ということになります。より、倒産しにくい企業であると考えられます。
企業が健全経営をしているかどうかを判断する際に上記の内容を比率化したのが、『当座比率』です。
 当座比率の計算方法
計算式は、
 当座比率(%)=(当座資産÷流動負債)×100
実際に計算をしてみると、
 (50,400÷36,000)×100=140(%)
 当座比率の見方と目安
目安は100%以上となります。当座比率が140%あるということは、優良企業ということになります。しかし、単純にそれだけで判断するのは危険過ぎます。もしくは、株を買うチャンスを逃す可能性があります。危険なのは過去3期分の比率を見比べて、下がっている時です。たとえ100%以上だったとしてもです。もちろん、売上、利益と比較してということになりますが、比率が下がっているということは事業が上手くいっていないと考えられるからです。
逆に100%以下でも、比率が改善してきているのならば、事業が上向き業績が回復してきていると考えられます。その場合、株価は当然安いでしょうから、儲けられるチャンスかもしれません。
株式投資では、株主資本比率とも言います。企業を運営していく上でどこから資金を調達しているか、非常に重要な問題です。1番良いのは、赤い色に塗られた部分、投資家から調達した資金と、儲けたお金(資本の部)だけで運営するのが理想です。しかし、事業が拡大傾向にあると、関連業者への支払いが増大していくはずです。そして、更なる設備投資(工場、店舗など)により、借り入れが増えるかもしれません。
会社にとって支払わなければならないお金が増えることは悪くはありませんが、貸借対照表の中で負債の占める割合が増えるのは良いことではありません。事業を拡大するにしても、できるだけ負債(借金)を作らないにこしたことはありません。利息をつけて返済しなければいけない紫で塗られた部分、有利子負債(銀行から借り入れた長期借入金、短期借入金)が負債と考えてさしつかえないと思います。売上が上がれば、確実に仕入れ経費が増大し、それに伴う買掛金や未払金などが増えるからです。いくら長期間で返済すればいいといっても、毎月返済しなければなりません。金額が膨大になれば、元金と利息の返済は必ず本業を圧迫するはずです。
 自己資本比率の計算方法
上記について比率で表したのが、自己資本比率になります。
計算式は、
 自己資本比率=(資本÷(負債+資本))×100
実際に計算してみると、
 (112,800÷(42,900+112,800))×100≒72.4%
 自己資本比率の見方と目安
60%以上が超優良企業と考えられるので、72.4%あるということは非常に優れた企業ということになります。この比率が高ければ高いほど、有利子負債が少なく、投資家から集めたお金と利益のみで会社を拡大させているということになります。借金が少ないということは、倒産しにくい企業であり、悪材料が出た時でも株価が下がりにくいということなります。一般的には、大がかりな設備投資が必要な製造業は、おおよそ40%前後。比較的設備投資が少なくてすむ小売業は、およそ50%前後となっています。
小売業であればお店に並ぶ商品、製造業であれば商品を作る材料などがこれにあたります。棚卸資産も企業の分析をする上で、重要な要素になります。ここで問題になるのが、在庫調整です。経済ニュースなど聞いたことがあるのではないでしょうか。言葉の通り、在庫が残らないように調整することです。上手く調整できれば、利益の減少を最小限に止めることができ、できなければ大幅に悪化する可能性があります。
 棚卸資産の見方と目安
棚卸資産というものは一期だけをみても分析できません。2期、3期と連続して見る必要があります。
  • 棚卸資産の額が横ばいであれば業績に変化なし。
  • (下記表参照)3期めでいきなり在庫が増加していれば、リスクの増大になります。売れ残る可能性が高くなるからです。
    1期 2期 3期
    100 100 1,000
  • (下記表参照)3期めでいきなり在庫が減っていれば、リスクの軽減になります。売れ残っても数が少ないため、利益を圧迫する可能性が少ないです。
    1期 2期 3期
    100 100 10
急激な棚卸資産の増減は、企業の売上が上昇すのかもしくは下降するのかのどちらと考えられます。在庫は、なければないほど好ましいのです。これらの動きは、株価に大きな影響を与えます。株を売買する場合の、判断材料になるはずです。
 研究開発費、特許使用料、営業権(いわゆるのれん代、名借り料)など
無形固定資産の場合、棚卸資産同様に急激な増減は何かが起こる前兆と考えて間違いないと思います。急激な増加は、企業が事業の拡大、新事業に乗り出すサインでもあります。 成功すれば、莫大な利益を生む可能性もあります。逆に、無形固定資産は1度で経費に落とすことができないので、資産として計上します。そして、毎期毎期少しづつ経費に振り替えるのですが、失敗すれば1度で経費に振り替えなければなりません。とすると、経費がいっきに増大し大きな赤字になる可能性もあります。
貸借対照表を使っての財務分析は、流動比率、固定比率など他にも様々な分析方法がありますが、とりあえず上記の流動比率、自己資本比率、棚卸資産さえておけば、ある程度の分析、その企業の置かれた状況がわかるのではないかと思います。
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